
岐阜県多治見の陶芸家ご夫妻、松永泰樹さんと鴨頭みどりさんのふたり展が始まりました。松永工房の素敵なHPを拝見しつつ、こんなにイマジネーション豊かな作品を作る人って、いったいどんな方達なんだろうとお会いするのを、楽しみにしていたのですが…。作品同様、息のぴったりあった素敵なご夫妻でした。


磁土や白磁にここだわった日常食器やオブジェ的な作品を作るのが夫の松永さん。”木綿のハンカチ”や”漆喰の壁”を思わせる、ほっこりとあたたかいマチエールと、ユーモラスでかつ端正なフォルムは、ほんのりクラッシック、それでいてしっかりモダンでもある。オーナー森田は、松永さんのお皿をひっくり返しては、高台や細部の作りの美しさにもタメイキしていました。発想の柔らかさと細部まで行き届いた精神の細やかさが、(有本利夫の絵のなかのそれのような)まぁるい存在感を放っています。心地よい静かな音楽を聴いているみたい。作品同様、ご本人も、知的で物静かな面持ち。昼ビールは気合い入れに欠かせない(?)小道具なんだそう(笑)。(注:決して”呑んべぇ”なわけではありません)

兎、猿、馬、熊、龍、樹霊、花の精、チェスの駒…etc。一応それぞれモチーフはあるのだけれど、オシリが風船のように膨らんでいたり、3本足だったり、尻尾が蓮の花だったり…!?鴨頭みどりさんの陶人形は、すごーく個性的。既にある「物語」に収縮してしまうことは決してなく、もこもこと増殖していくライブ感たっぷりの不思議世界に最初は少々、躊躇われる方もいらっしゃるかも(笑)。でも、一度、この魅力の取り憑かれたら、もう、たまらない。「突き抜けて明るい!」とおっしゃったお客様もいらっしゃいましたが、そうそう、そうなんだよなー…。鴨頭さんは(松永さんもですが)、メキシコのトルーカの陶磁器学校に勤務されていた時期があるのだとか。メキシコでは骸骨をモチーフにした工芸品をよく見かけるんですって。
【参考】 工芸品だけでなく、お誕生日のケーキの上なんかにもそんなキャラクターが普通にのっかっていたりするらしい。

悪魔や骸骨までも、ちょっとおどけた愛すべきキャラクターとして市民権を得てしまう、明るく乾いたラテンの空の懐の深さ。ノリのよさ。それに触発されて、鴨頭さんは今のような創作を始められたのだそうです。こんな作品を目の当たりにしてしまうと、「鴨頭さんってどんな人なんだ!」って、ますます知りたくなるでしょう?ご心配なく。いたって普通の方です(笑)。色白で痩身。自然体でほがらかな素敵な女性です。